聖書には「あなたの父母を敬え。そうすれば、あなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生きることができる」(出エジプト記20章12節)とあります。自分を育ててくれた方々を敬うことは健康面でも神の祝福を受けるのです。

皆様は聖書の中で母ということで思い出される方はどなたでしょうか。イエス様の母マリアとか、バプテスマのヨハネの母エリサベト、預言者サムエルの母ハンナ、あるいはアブラハムの妻でありイサクの母サラかもしれません。

本日わたしが示されたのはテモテの母エウニケについてです。使徒パウロは、テモテの信仰は、最初祖母ロイスと、母エウニケに宿ったと言っています。テモテの母親が生活の中で神に祈り、助けと導きを求めて生きている姿が、テモテに引き継がれて信仰が神様より与えられたのです。

テモテは父がギリシア人、母がユダヤ人でした。割礼を受けていなかったので、どちらかというとギリシア的な影響の強い家庭であったと思われます。母がどのようにして信仰を得たのかわかりません。テモテはパウロの第2回伝道旅行において同労者に選ばれて以来、その任に当たりました。祖母、母の影響で幼い時から聖書の教育を受けたと思われます。福音がアジヤからヨーロッパへ伝えられる際にテモテは重要な役割を担ったと想像できます。

アウグスチヌス(AD354-430)はローマカトリック教会の代表的な初期の神学者ですが、プロテスタント運動にも、このアウグスチヌスの神学の影響があったと言われています。アウグスチヌスはいろいろと放浪し、ついにイエス・キリストを信じて後にあの有名な「告白」を書くのです。その中で自分が信仰を持つに至った陰には、母モニカの涙の祈りがあったということを繰り返し書きました。「洗礼(バプテスマ)を受けて濡れた時にようやく母の涙は乾いた」と。このような母の祈りと涙、あるいは母なる教会の祈りは、神様が人類に与えた大きな恵みです。