イエス様が、どのように少年時代を過ごされたかを語る聖書の記述はほとんどありません。しかし本日の聖書の箇所は、イエス様が12歳の頃にあった出来事を記している貴重な場面です。

12歳頃になるとユダヤ人の男子は自分の責任において、律法に従う生活をすることができるようになります。つまり信仰的に、その男の子が一人前と認められる時期です。昔の日本で言うならば元服のようでしょう。イエス様の両親一行が過ぎ越しの祭りの帰り道で、イエス様の両親は息子がいないのにのに気づかず一日分の道のりを行ってしまいました。そして夜の野営の準備をすることになった時に、両親は息子であるイエスがいないことに気がついたのです。マリアとヨセフはかなりの不安感におそわれ、そして息子イエスを探し始めました。三日間探しつづけた末に、両親は息子をエルサレムの神殿で見つけたのです。その時イエスは神殿で学者たちの真ん中に座っていました。この座るとは、教わる者の姿勢を表すものです。この時のイエス様は、自立した立場で率先して学者たちから学ばれようとしたのです。

母マリアは息子イエスに、父ヨセフであるあなたのお父さんが心配していたと問い詰めたところ、イエス様は父の家の中にいたと答えました。それは神様を自分の父と呼び、ヨセフではなく神こそが、わたしの本当の父だと明言しているのです。まさにイエス様は、両親から自立し、信仰的にも律法に沿った答えをしたのです。また原語的に見ると、イエス様は自分が神様にある働きをしていて、とても忙しかったと答えているのです。つまりイエス様は信仰的に一人前になったこの時期から、神にある多くの働きに目を向けながら実践しておられたのです。そして神にある働きについて、律法の専門家がどのように捉え判断しているかを、イエス様はへりくだりながら学者たちと問答し合いながらから自らに問われておられたのです。