今日の16章はコリント信徒への手紙一の、あとがきのような内容になっています。普通の本でも著者のあとがきというのは大切な内容を含んでいます。このコリント信徒への手紙一16章も、じっくり学ぶべき価値のある章だと言えるでしょう。
1節で「聖なる者たちのための募金」とは、「エルサレム教会の人たちのための献金」ということです。エルサレムにいるユダヤ人キリスト者たちは、キリスト教会外の他のユダヤ人たちから憎まれていましたので、苦しい生活を強いられていました。ですから「聖なる者たちのための募金」としてパウロはコリントの教会だけではなく、彼が立ち上げたすべての教会に向かってエルサレム教会のために献金を集めるように勧めていました。
2節でパウロは「わたしがそちらに着いてから初めて募金が行われることのないように、週の初めの日にはいつも、各自収入に応じて、幾らかずつでも手もとに取って置きなさい。」と勧めております。その日曜日の礼拝の日に、パウロは具体的に収入に応じて、エルサレム教会のために献金を取り分けておきなさいとこのコリント教会に指示をしておりました。わたしたちも毎月の生活費の中から献金の分を取り分けることは必要なことです。
今日の私たち日本の教会は、エルサレムにある教会のために特別に献金をしていません。しかし、私たち日本の教会が今このように福音を聞くことができるのも、さかのぼってみれば初代教会であるエルサレム教会の人たちの献身的な働きがあったからこそです。私たちの日本の教会は、米国南部バプテストの教会や宣教師たちから支援を受けてきたのですが、彼らの背後には、彼らに福音を伝えたもっと古い宣教団体があり、それをどんどんさかのぼっていけば、このエルサレム教会にたどり着くのです。そういう先人たちの努力や献身をわたしたちは決して忘れてはならないのです。